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健康な状態と介護が必要な状態との中間地点にある状態のフレイルとは何か?

目次

フレイルとは何か?

フレイルとは、加齢や疾患によって身体的・精神的なさまざまな機能が徐々に衰えたり、心身のストレスによって心身がともに脆弱になった状態のこととなります。

特に高齢者の場合は、糖尿病や高血圧、骨粗しょう症などの慢性疾患、がんなどさまざまな病気を抱えているケースが多いために、心身機能の低下と重なることで生活機能が落ちたり心身の脆弱性が加速されたりする危険性が高くなったりしています。

しかし、フレイルという状態は、完全に介護が必要な状態ではなく、適切な生活改善や運動を行っていくことで生活機能が以前の状態に改善する可能性があることが示されているのです。つまり、フレイルとは、健康な状態と介護が必要な状態との中間地点にある状態のことなのです。

近年において、65歳以上の高齢者が約三割を越える日本で、フレイルの改善や更なる進行の予防は非常に重要と考えられており、要介護状態に陥ることを避けるためにも早期に適切な改善がなされるべき状態として広く認識される必要があると言えます。

フレイルの原因とは?

フレイルを引き起こす原因は、脆くなる領域別に“身体”・“心や認知”・“社会性”の3つに分けられます。

身体的な面での原因としては、骨・関節・筋肉など運動機能に関わる器官の衰えが挙げられ、歩行や立ち座りなど日常生活を送るうえで必要な動作に支障をきたしている“ロコモ”と呼ばれる状態、筋肉量が減少する“サルコペニア”と呼ばれる状態などが含まれます。

慢性疾患や多剤併用などがこれらを加速させ、運動量の低下や食欲減退から、低栄養となり、筋力の低下を起こす悪循環が知られています。

一方、心や認知の面での原因としては加齢に伴う認知機能の低下や抑うつ気分などが挙げられ、家事や買い物などさまざまな場面で適切な行動・判断ができにくくなることなどが問題となります。そして、社会性の面での原因としては、社会的に孤立しがちになることで引きこもりや孤食(1人で食事をすること)などが挙げられます。

また、フレイルの特徴は、上で述べた3つの原因が重なることでさらに状態が悪化していくことです。たとえば、身体機能の衰えによって外出が億劫になることで引きこもりがちの生活になり、それが社会性の低下を引き起こします。また、引きこもりがちな生活が続くことでさらに身体機能や認知機能が低下することにもつながり、心身の機能がどんどん衰えていくという負のスパイラルに陥ると言われています。

フレイルの具体的な症状とは?

フレイルは、健康な状態と介護が必要となる状態の中間の状態を指しますので、年齢のせいと間違われる症状が多く、痩せてきた、握力が低下してきた(ペットボトルの蓋が開けにくい)、横断歩道が青信号の途中からでは渡りにくいなどが、診断基準にのっとった症状となります。

フレイルにおけるもっとも注意すべき症状は転倒や骨折です。その他に、排尿障害、視力低下、活力低下、息切れ、物忘れなどが挙げられます。

これらを見過ごしていると、更なる心身機能の低下が生じ、風邪をこじらせやすくなって肺炎を発症したり、転倒しやすくなって骨折したりする可能性が高くなり、最終的には介護が必要な状態に陥る危険性が増すとされています。

フレイル状態にあるか否かを判断する指標は?

フレイルは健康な状態と介護が必要な状態の中間地点にある状態のことを指すため、身体的・精神的に明らかな異常は見られないことがほとんどです。そのため、血液検査や画像検査などを行っても異常が見られないことも少なくありません。

フレイル状態にあるか否かを判断する指標はさまざまありますが、一般的にはFried氏が提唱した基準が用いられます。具体的には、以下の5つの項目の内3つ以上が該当する場合をフレイルとし、1~2つ該当する場合をフレイルの前段階である“プレフレイル”とします。

1.体重減少(意図せず一年間に4.5㎏または全体重の5%の減少がある)
2.疲れやすい(何をするのも面倒だと感じる日が週に3~4日以上ある)
3.歩行速度の低下
4.握力の低下
5.身体活動量の低下

一方で、早くフレイルの状態に進行した場合は、軽度な脳梗塞、潜在性の心不全、腎機能障害、COPD、 腰椎圧迫骨折などの思わぬ病気が隠れている場合もあります。そのため、症状に応じて画像検査や血液検査などを行う必要があります。

簡単ですぐできる予防については、3の握力低下について以下をお試しください。

握力は認知機能維持を予測する?

国立医療研究センターの老化疫学研究によりますと、「握力」という身体能力と認知機能の維持に関連しているとし、検証した結果を示していますので、以下のリンクをご参照ください。

簡単な運動を2つ紹介します。

まず、雑巾絞り運動は、乾いた雑巾またはタオルを1枚用意します。雑巾の両端を持ち、両腕を前へ伸ばします。そして、腕の位置を変えずに、雑巾を絞るように片方の手を時計回りに、もう片方の手を反時計回りに回す。1、2、3とカウントを数えながら雑巾を絞って元に戻します。反対側も同様に絞ってください。目安としては10回を3セットですがきつい場合は回数を減らしても大丈夫です。

次に、上の画像にあるペットボトル運動は、ペットボトルの大きさや、入れる水の量で負荷を調節してください。やり方は、両手にペットボトルを1本ずつ持ち、両腕を前へ伸ばす。腕の位置を変えずに、手首を曲げ、手を上へ向けます。手首を曲げ、手を下に向ける。上下で1回と数えて行う。逆手でも同様に行います。目安としては10回を3セットですがきつい場合は回数を減らしても大丈夫です。

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