ブログ

Blog

筋肉トレーニングを行う前の基本的な知識と効果的な筋トレ法

目次

筋肉についての基本的な知識

人間の身体には、ストレスが加わるとそのストレスに耐えられるように適応する能力が誰しも備わっています。

骨は衝撃を繰り返し受けることで硬くなり、心肺機能は何度も持久走を行うことで向上します。

筋肉も大きなストレス(負荷)を繰り返し受けるとそのストレスに適応して太く発達するのです。

筋肉が大きくなると、大きな負荷にも耐えられるようになります。

これが筋肥大メカニズムでこのメカニズムを応用したものが筋トレとなります。

少し長くはなりますが、以下に筋トレする上での大切な基本知識を述べますのでご参考ください。

筋トレする為のエネルギーは「ATP」という化学物質

筋力トレーニングの質を高める上で、休養や栄養の取り方について関心を持つことは重要であると考えます。

自動車を動かす為の燃料がガソリンや電気となりますが、私たちの燃料は食べ物になります。食事から栄養素を体内に取り込んで蓄え、「代謝」という幾つもの反応を通してエネルギーを作り出し使うことで身体を動かしています。

食事から摂る栄養素のうちエネルギーの源となるのは、糖(糖質)、脂肪(脂質)、タンパク質の三つになります。糖というのは炭水化物や砂糖、食物繊維など、脂肪は油やバター、そしてタンパク質は肉や魚、豆腐、卵などに多く含まれています。

私たちのエネルギーというのは、糖、脂肪、タンパク質を、酸素と反応させて作る「ATP」という化学物質から産まれるのです。そして、どこで作られているかと言いますと、主に細胞内の「ミトコンドリア」という器官で多くのATPが作られています。

素早くエネルギーを生み出すのは「糖」

エネルギーの源となる糖質、脂質、タンパク質の三つの中で、糖だけは酸素がなくても少量ですが素早くATPを作り出すことができます。これがスポーツする上でとても重要となるのですが、このときに副産物として産まれるのが「乳酸」という物質になります。聞いたことがあるかと思いますが、この「乳酸」は酸ですから溜まると筋肉は酸性になってしまい、長く運動を続けることが出来なくなってしまいます。

以前までは、「乳酸」は代謝によって出来てしまう老廃物であり、疲労物質であると考えられていました。しかし、「乳酸」も、最終的にはミトコンドリアで酸化されATPになることがわかっています。「乳酸」を酸化して再びエネルギーを取り出す能力には個人差がありますが、トレーニングによって向上させることができるのです。これから読み進める内にそのヒントがわかると思いますので是非お読みください。

糖と脂肪の両方からエネルギーを作り出している

私たちは寝ているときも、考え事をしているときも、運動しているときも、糖と脂肪の両方からエネルギーを作り出しています。人間の脳には糖からしかエネルギーを供給することができないことが知られていますし、心臓を動かす筋肉である心筋は脂肪をエネルギーの材料に使います。ですから糖と脂肪のどちらがなくても生きていくことはできませんし、どちらかのみを使って運動することはできないのです。

しかし、運動強度の低いときと高いときでは、動員される筋線維の違いから、脂肪と糖の使われる割合が変化します。運動強度が低ければ脂肪の割合が多く、運動強度が高くなるほど糖の割合が増えていきます。運動強度がかなり高くなると脂肪の利用は一気に減って、殆ど糖からしかエネルギーを取り出すことが出来なくなります。

上記の表をご参考ください。後に触れていきますが、運動強度はどの筋肉繊維を使うのかで異なってきます。

ダイエットの為に脂肪だけを使って運動することはできないのですが...

シェイプアップやダイエットが目的であれば、糖と脂肪の利用度を考えるよりも消費するカロリーの総量を増やすことが必要になってきます。具体的には、低めの強度(会話が出来るくらい。最大心拍数の50〜65%程度)で時間と頻度が多い方が良いということです。息が乱れてフォームが崩れるまできつく感じていれば、脂肪よりも糖を多く利用していることになるし、長い時間続けられないので、そこまで強度を上げる必要はないと言えます。

これも後ほどに触れますが、背骨を支える筋肉(速筋繊維)を肥大するには糖を多く利用する必要があります。

糖と脂肪が蓄えられる場所について

糖(炭水化物や糖類)は消化器官で分解された後グルコースという分子になり、「グリコーゲン」(グルコースが幾つかくっついたもの)という形で「筋肉」と「肝臓」に蓄えられます。筋肉、肝臓、そして血液が十分な糖で満たされると、余った分は「脂肪」という形で皮膚の下(皮下脂肪)や内臓の周り(内臓脂肪)に蓄えられることになります。

糖は水に溶けるが脂肪は溶けない

コーヒーに砂糖がよく溶けるように糖は水に溶けます。糖は体内では水に溶けた状態で貯蔵されていて糖と溶液(水)の割合は一定に保たれています。水に溶けるということは血液を伝って全身にエネルギー源を運びやすい、つまり、利用しやすいことになります。また、体内の糖が使われて無くなると溶液の水は不要になり体外へ排出されます。

逆に、油を水に垂らすと分離してしまい、かき混ぜても溶けないことからもわかるように、脂肪は水に溶けません。脂肪は脂肪細胞に蓄えられていますが、エネルギーとして使うためには筋肉細胞へ移動させなければなりません。しかし、水に溶けない脂肪を血液を伝って運ぶためには、酵素(タンパク質)の働きが必要となるため手間がかかることになるのです。

糖と脂肪の構造上の違いからもわかること

分子の構造上において、糖からエネルギーを生み出す過程の方が、脂肪からエネルギーを生み出すよりも反応を速く進めることができます。運動強度が高くなるとき、例えばダッシュのような短距離を走る運動をしたら糖の分解が多くなります。

体内の糖の貯蔵量は(エネルギー換算にして)筋肉に約1500kcal分、肝臓に約500kcal分、合わせて約2000kcal分です。一度筋肉に貯蔵された糖は再び移動することはなく、肝臓に蓄えられた糖は血液を伝って全身に運ばれます。血糖値とは血液中のグルコースの濃度のことで常に一定に保たれます。

脂肪1kgからは9000kcalのエネルギーを作ることができます。「体重×体脂肪率×9000kcal」で各自の脂肪の持つエネルギーを計算してみてください。例えば、体重60kg、体脂肪率20%の人の脂肪量は12kgなので、エネルギーに換算すると10万kcal以上です。

脂肪10万kcal以上という量は糖2000kcalに対して50倍以上です。糖は水に溶けた状態でなければ貯蔵することができない、つまり、かさばるので多くは蓄えられず、貯蔵には脂肪のほうが無駄なものが要らない分たくさん蓄えておけるということになるのです。

「速筋」と「遅筋」2つの筋肉のタイプ

筋肉には大きく分けて「速筋」と「遅筋」という二つのタイプがあります。「速筋」は主に糖をエネルギー源とし、「遅筋」は脂肪をエネルギー源とします。速筋では酸素を使わず素早く糖からエネルギーを取り出せるのですが、このときに副産物として「乳酸」が出ることは以前に述べましたが、以下に、「速筋」と「遅筋」、そして両方の性質を持った「中間筋」という筋肉のタイプ、そして速筋でできた「乳酸」が遅筋で再びエネルギーとして使われるメカニズムについてこの後で述べていきます。

筋肉は何千本もの筋線維が束になって出来ています。筋線維には大きく分けると遅筋(Type I)と速筋(Type II)という2つのタイプがあり、さらに速筋は速筋(Type IIb)と、遅筋に近い性質を持った中間筋(Type IIa)に分けることが出来ます。筋肉の断面(上記図の腕の断面図を参照)を見てみるとこの3種類の線維がモザイク状に分布しています。どの筋繊維がそれくらいの割合を占めるかは、人によって、または筋肉の部位によって割合が違います。

速筋・Type IIbについて

速筋は重いウエイトを持ち上げたり、ダッシュしたりするときに動員される筋線維です。収縮が速く太くて張力が強いのですが持久的運動には向きません。瞬間的にパワーを出す時に、速筋線維に蓄えられている糖を一気に分解してエネルギーを取り出します(解糖系)。そして同時に「乳酸」が作られますので、筋肉は酸性になってしまい長く運動を続けられなくなります。

遅筋・Type Iについて

遅筋は瞬間的にパワーを出すような運動には向きませんが、長距離走などの持久的運動に向いている筋線維です。遅筋の筋細胞には「ミトコンドリア」が多く、また酸素を取り込む「ミオグロビン」というタンパク質が多く含まれています。

遅筋線維の周りには酸素を運び二酸化炭素を除去する毛細血管が多くあり、糖や脂肪を酸化させて多くのATPを取り出すのに向いているのです(この酸化系の反応では乳酸が出来ません)。速筋で作られた乳酸もこの遅筋に運ばれ、ミトコンドリアで酸化され再びエネルギーとして合成されます。

中間筋・Type IIaについて

中間筋は文字通り速筋と遅筋の中間の性質を持つ筋線維です。スピードやパワーを持ちつつ、持久的運動にも向いているという「エンデュランス・スポーツ(周回コースを一定時間で何周走行できるかを競う耐久競技)」をする人にとっては願ってもないタイプの筋肉となります。

中間筋は速筋線維が遅筋のような働きを持つ線維に変わったものです。中間筋では糖からエネルギーを取り出し乳酸を作りながらも、その乳酸をミトコンドリアで酸化させて再びエネルギーに戻しているので、遅筋よりも強いパワーを長時間に渡って出し続けることを可能にします。

中間筋発達の可能性について

速筋と遅筋の筋繊維の割合は、産まれたときから決まっていてトレーニングによって変えることはできないと考えられてきました。筋力トレーニングをすれば繊維を太くすることが出来るので、体積の割合を変えることはできますが、繊維そのものを変えることはできないという見方です。

しかし、トレーニングによって速筋の一部または多くの部分を中間筋に変えることができるということが分かってきました。中間筋の発達は、エネルギー代謝の面から見ても、エンデュランス・スポーツの競技力向上に非常に効果が高いことも証明されています。優れた短距離走者になるには素質が必要ですが、トレーニングをすれば誰でも長距離ランナーになれる、ということに変わってきています。

筋繊維の色について

筋繊維は性質だけでなく見た目の色も違います。速筋は白、中間筋はピンク、遅筋は赤色をしています。どうして色が違うかというと、遅筋や中間筋には「ミオグロビン」というタンパク質が含まれていてこれが多い分だけ赤く見えるからです。

魚でたとえると分かりやすいかもしれません。大型の回遊魚であるマグロの身が赤いのは、ミオグロビンによって沢山の酸素を取り込んでエネルギーを作り出している遅筋だからで、鯛やヒラメなど近海魚の身が白色なのは、素早く泳いでエサを捕捉するために主動筋が速筋だからなのです。サーモンは回遊魚ですが、産卵の時には川を激しく泳がなければいけないので中間筋を多く持つ魚、と考えられています。ランナーに例えれば、マグロは長距離ランナーでヒラメはスプリンター、サーモンは3000m障害のような激しい種目の選手と言えるかもしれません。

効果的な筋トレ法

復習の意味で再度、同じ文章を以下に繰り返します。

人間の身体には、ストレスが加わるとそのストレスに耐えられるように適応する能力が誰しも備わっています。骨は衝撃を繰り返し受けることで硬くなり、心肺機能は何度も持久走を行うことで向上します。

筋肉も大きなストレス(負荷)を繰り返し受けるとそのストレスに適応して太く発達するのです。筋肉が大きくなると、大きな負荷にも耐えられるようになります。

これが筋肥大メカニズムでこのメカニズムを応用したものが筋トレとなります。

つまり、筋トレとは、筋肉に対して太くなる必要を感じさせるストレスを意識的に与えることでの筋肥大を誘発する運動となります。

そして、遅筋よりも速筋の方が筋肥大しやすいのですが、筋張力を発揮するときに、遅筋から力を動員する性質が私たちの身体にはある為、速筋にストレスを与えるのに当たって、筋肉に大きな負荷を与える必要があるのです。

反復が限界となる高負荷で行う

数々の研究結果によれば、筋トレは、8~10回が限界となる負荷で行うことで最も効率よく筋肥大効果が現れるとされています。

ひとつの種目を複数セット行う

筋トレは、ひとつの種目に対して、1セットだけでなく複数セット行うことが基本となります。

複数セット行うことによって、運動のボリュームは大きくなり、筋肥大効果も高くなります。

セット数は、3セットが基本的な目安となります。

反復できなくなる負荷で限界の回数まで行う

高い筋肥大効果を得る為には、限界の回数まで行うことが必須となります。

筋トレの回数は、「反復することができなくなる回数」が、その人によっての「適正回数」となるので、例えば、10回が反復するのに限界となる負荷で行うこともできます。つまり、余力を残さずに限界まで力を使い果たすことが鍵となります!

セット間のインターバルは1~3分程度

セット間のインターバルは、短めの1~3分程度が最も効果的であり筋肥大を誘発する無酸素性代謝物の蓄積が大きくなる。

インターバル時間に対する成長ホルモン分泌を検証した実験では、3分間のインターバルよりも1分間のインターバルの方が効果的との結果が見られた。

しかし、このインターバルは個人差や年齢の違いによっても大きく左右される為に、注意が必要であり、インターバルが短すぎた場合、疲労の回復が追いつかずに、以降のセットで反復できる回数が減ってしまうこともあるので適切なインターバルをその都度見つけることが大切です。

最後に

筋肉トレーニングを行う前の基本的な知識と筋肉肥大の為の効果的な筋トレ法についてごく簡単に触れましたが、英会話の訓練同様に筋肉トレーニングも、ある程度の期間は、正しいフォームと習慣が身に付くまではトレーナーに習うことで、文字通りに筋肉が身に付くことになります。

まだまだ、筋肉については、他にも色々な知識がありますが、筋肉についての大まかなアウトラインで少しでもイメージが膨らみましたら幸いです。

長い文章をお読みくださりありがとうございます!

SHARE
シェアする

ブログ一覧

ページの先頭へ