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筋肉がつながっているアナトミートレインを知ると、トレーニングがより深くなる!

目次

アナトミートレインに乗って筋筋膜経線をたどる旅への誘い

アナトミートレインというのは、身体全体にわたる筋膜と筋筋膜の「コネクションの解剖学」を提供します。アナトミーというのは、体内の構造つまり解剖学を意味していて、トレインというのはつながりを意味する言葉となっています。

アナトミートレインというのは、つまり、身体の中のつながりを示すという考え方で、筋肉は全身でつながりをもっているとする考え方の土台となっている理論ということになります。

アナトミートレインに関する三大原理とは何か

全身には主要な筋肉のラインが7つあり、そのラインに共通する三大原理とは何かについて、まずは述べていきたいと思います。

1.ライン上にある筋肉は同じ深さで存在し、なおかつ、直線的であること
2.ライン上にある筋肉はお互いに線でつながり合って影響を及ぼしあっていること
3.それぞれのラインには主要な役割があること

アナトミートレインとは、同じライン上の隣り合う筋肉と筋膜を介した連続体のことであり、お互いに引っ張り合う筋力のラインを示しています。したがって、ライン上の筋肉はおおむね同じ深さに位置しています。

1については、イメージとしては、洋服の重ね着にたとえますと、下着を着てその上にワイシャツそしてジャケットを羽織るとしましょう。ジャケットの裾を引っ張ると、その動きはジャケットの裾元までその張力は及んでいきますので、ジャケット自体はその動きに影響されますが、下着はそれほど影響されることはありません。洋服の表層は表層で動いて深層の下着は深層で動くことになるので、動く深さによって影響を与え合う程度は違ってくるということです。

筋肉も同じように、「僧帽筋」と「三角筋」は、表層において連続した筋肉となりますので、その下に位置する「菱形筋」と「棘下筋」が深層にて連続して存在しています。ライン上に連続する筋肉は深さによって異なるということです。

2については、ライン上に存在する筋肉は、互いに線でつながり合って影響を及ぼしあっていることになります。全身には大小のおよそ400もの骨格筋が存在し、それぞれに筋膜という膜で覆われています。

アナトミートレインでは、これらの筋肉をひとつずつの単独では考えないで、筋膜によってひとつにつながっていると考えています。電車のイメージでたとえますと、筋肉は駅で筋膜は線路とします。それぞれの駅は単独で存在しすべては線路で繋がっているので、ひとつの駅で事故が起きればその線路上にある他の駅にも影響が及んでしまうのと同じになります。

つまり、身体においても、ひとつの筋肉で支障があれば他のライン上の筋肉にも影響を及ぶことになるので、身体を解剖学において学ぶことは、筋肉名を覚えることと駅名を覚えることが同じであり、線路名も分からなければつながりは見えてこないので、目的地に行き着けないと考えるアナトミートレインになります。

山手線を知っていると渋谷と池袋のつながりが見えてくるのと同じく、「浅層バックライン」を知れば頭と背中そしてふくらはぎまでのつながりが見えてきます。

3については、ラインにはそれぞれにおいて主要な役割があるということですが、全身には7つの主要なラインがあると考えていて、それぞれのラインには役割があるとするものです。たとえば、「浅層バックライン」は姿勢を維持すること、「スパイラルライン」は全身に大きな回旋力を生み出すこと、「深層フロントライン」は歩行のリズムを呼吸とつなげることになります。

それぞれのライン上に存在する筋肉は連動性をもっているので、そのために一つひとつの筋肉が単体で働くよりも省エネでかつスムーズに動作を出すという役割が見えてくると、身体の仕組みはますます興味深いものとなることでしょう。

アナトミートレインに関する7つの基本ラインとは何か

7つの基本ラインの説明とその役割についてもう少し踏み込んでいきましょう。

「浅層フロントライン」について

まず一つ目のラインは、身体の前側のつながりで「浅層フロントライン」と呼んでいます。「浅層フロントライン」は、「姿勢の維持」と「反射活動」の2点において非常に重要な役割を果たしています。全体的に速筋繊維がメインとなって構成されているために、大きな音や振動に対して、素早くハッと身をすくめる動作に対してよく使われます。

ストレス環境下にさらされている方々は固くこわばりやすい傾向にあると言われていますので注意が必要です。

筋肉の走行イメージは、画像のイラストをご参考ください。上半身のスタート地点は、首の裏側で、ここからはじまるラインは耳裏から首を経由して鎖骨の中心へとつながり、そして、そこから胸の中心を通って腹部を縦に下り、下半身のラインは太腿前から始まり、太腿前からすね前、足の甲からつま先へと、身体の前面をきれいに下っていくのがこの「浅層フロントライン」になります。

「浅層バックライン」について

二つ目のラインは、背中側で「浅層バックライン」と呼ばれています。先ほどの「浅層フロントライン」とは対の位置関係にありまして、身体の表面を真っ直ぐに下っていきます。「浅層バックライン」ラインの最大の役割は、直立姿勢を維持することになります。

幼児はこのラインが未熟なために立ち上がることができませんので、ハイハイ動作を通じてこれらの筋肉群を強化して、徐々に直立二足歩行を可能にしています。このライン上に存在する筋肉群は「抗重力筋」と呼ばれる姿勢を保つための筋肉で構成されています。これらの筋肉群は遅筋繊維がメインとなっています。

遅筋繊維は大きなパワーの発揮はできないのですが持久力に優れている筋肉となります。なぜならば、地球上では常に重力が働いているために、ほぼすべての活動時には働いている筋肉になりますので、それだけに疲れやすいということになっています。

多くの方々が感じている肩こりや腰のつらさというのは、このライン上の筋肉で起きていることが多いと考えられますので、丁寧にケアすることが大切です。

「浅層バックライン」は、眉毛の上から始まり、ここからはじまったラインは、頭のてっぺんと後頭部を通って、そのまま首そして背中へと入っていき、頭と首、背中は連動していて、きれいにつながっていることが画像より見て取れると思います。首が疲れると頭が凝るもしくは張るのは、まさにこのつながりとなっていることが分かります。

下半身との連結部分では、お尻の中央部分から太腿へと筋肉がつながり、この部分には仙骨と坐骨を結ぶ仙結節靱帯が存在します。この靱帯によって、背中にある「脊柱起立筋」と太腿の裏にある筋肉「ハムストリングス」の連動性が生まれています。だからこそ、背中の筋肉が硬くこわばると太腿の裏が張ってしまう原因となるわけです。太腿の裏の後は、膝裏を経てふくらはぎへと入り、そして、最終的にはアキレス腱を介して、足低筋膜、さらには、指先へとつながっていきます。

「ラテラルライン」について

三つ目のラインは、「ラテラルライン」となります。「ラテラルライン」は、身体の両サイドに存在するラインで、このラインの働きを一言で表すならば、テントのワイヤー部分になります。と言いますのは、テントの両側のワイヤーがしっかり張られていることでテントの安定した構造となるからです。私たちの身体も同じように、「ラテラルライン」がしっかり働いているほどに動作が安定していくのです。

私たちの身体とは、そもそも、前後への曲げ伸ばしがメインとなっていますので、歩くという動作をひとつとってみても、股関節が真っ直ぐ前へと前方へと伸びても足首がふらつかないのは、これらの動作の組み合わせ連動性によって、効率の良い歩行動作が生み出されているからだと言えます。もしも、この「ラテラルライン」がうまく機能しなくなったならば、一歩ごとに身体が左右へとふらつくようになってしまうでしょう。一見すると、あまり目立たないラインのようですが、動きの方向性をしっかりサポートしていて、より効率的な運動ができるように影ながら支えているという重要な役割を担っているのです。

この「ラテラルライン」のスタート地点は、耳の後ろ側です。耳から首の側面に対して前後に分かれて下っていき、そして、肋骨部分を大きく包み込み、脇腹を経て骨盤へと行き着きます。下半身ではお尻の外側そして太腿の外側を経由していきます。この部分は「大腿筋膜張筋」と「腸脛靱帯」と呼ばれ、立ち放しでいることでつらくなる筋肉群です。その後はすねの外側を経て足裏へとつながっていきます。最終的なゴール地点は、外踝の後ろを通って土踏まずの部分となります。

「スパイラルライン」について

四つ目のラインは、「スパイラルライン」となります。「スパイラルライン」は、前後から身体に巻き付くように存在しています。最大の特徴は全身をグルッと包み込んでいてスタート地点とゴール地点がほぼ同じ地点であることになります。このラインは、二重螺旋構造によりすべての平面における背骨の長さとバランスの維持を調整しています。

「スパイラルライン」という名前のように、このラインは身体の回転力をコントロールしています。もしも、このラインが存在していなかったならば、バッティングやテニスのスイング動作はうまく行うことができません。つまり、投げる動作や走る動作を安定させていて、効率的な関節の軌道を決定しているのですが、よりシンプルに表現するならば、身体をつなげていて安定させる構造になっていると言えます。激しい動作を伴うようなスポーツを行う上では非常に重要なラインになるのです。

この「スパイラルライン」は、耳の後ろからスタートし、ここから首の裏を下り、首の裏側から背骨を乗り越え反対側の肩甲骨へとつながっていって、反対側につながっていくというのがポイントになります。そして、そこから脇腹部分を経て身体の前面へと回り込んで最後は反対側の骨盤へと行き着いていきます。この筋肉のつながりのラインはとても美しいと言えます。下半身はお尻の外側から太腿側面を経て、膝から下はすねの前を通って内踝です。足下まできたのですが、まだここまでで終わるということはなくて、内踝へとつながったラインは足裏をグルッと旋回して、ふくらはぎの側面を上へと上がっていきます。そのまま、太腿の裏側に入り骨盤を経て背中へ行き、最終的には、スタート地点であった首裏部分へと戻っていきます。

これらの筋肉は、基本的に同じ深さでつながっていているために、相互に影響を及ぼしあっています。ひとつの筋肉のこわばりは、隣り合う筋肉を引っ張り続けてしまうことが起こり得ることが分かると思います。

「アームライン」について

五つ目は、「アームライン」になります。「アームライン」は、胸や肩そして腕へとつながっていくラインになります。画像のように、身体の前後および深さによって4種類に分けられています。

「アームライン」の一つ目が「前面×表層」の浅層フロントアームラインになります。このラインは、胸と背中の大きな筋肉である「大胸筋」と「広背筋」からはじまります。2つの大きな筋肉は、腕の骨の前側へとつながり、ここから腕の骨を下って前腕部分の前側へと経て、最終的には四指の先端へと、つまり親指を除いた人差し指から小指までの四本指へと行き着きます。

「アームライン」の二つ目は、「前面×深層」の深層フロントアームラインになります。このラインは、先ほどのラインのひとつ下の下層を通ります。「大胸筋」の深層に存在している「小胸筋」という筋肉からスタートし、次は、力こぶの筋肉として知られる「上腕二頭筋」へと入り、そして、前腕の深層部分を通って、最終的には親指へとつながっていきます。先ほどの浅層のラインは四指へとつながり、今回の深層ラインは親指へとつながっているのです。

続いて、裏側の「アームライン」の三つ目は、「後面×表層」の浅層バックアームラインとなります。このラインは、肩こりの代名詞と言える「僧帽筋」から始まり、「僧帽筋」のゴール地点と肩の最先端にある「三角筋」のスタート地点は肩甲骨を介してきれいに重なっていて連動性をもっていることが見て取れます。ここから先は上腕骨沿いを通り前腕へとつながり、最終的には四指の先端へと行き着きます。

このラインは、前腕の伸筋群、そして、指先へとつながるに指を伸ばすという動作の際によく使われますので、パソコンのタイピングの動作は常に指先を上げた状態をキープするために始終使われています。ですので、長時間のデスクワークによって、前腕部分が硬くこわばるとそのこわばりは肩先端の「三角筋」を通じて「僧帽筋」へと影響を与えることになります。これが結果として肩こりの要因となります。デスクワークでの肩が凝るということに対しては前腕部分からのケアが大切になるわけです。

「アームライン」の最後の4つ目は、「後面×深層」の深層バックアームラインになります。スタートは、首と背中の深部にある筋肉になります。ここを「肩甲挙筋」と「菱形筋」といいますが、この2つの筋肉は肩甲骨へとつながっています。肩甲骨からは肩甲骨に張り付くように存在している2つの筋肉の「棘上筋」と「棘下筋」を介して上腕骨へとつながり、上腕骨の後ろ側に行き着いたこのラインは「上腕三角筋」を通り尺骨沿いを通って小指へとつながっていきます。

以上の4つが「アームライン」となり、この「アームライン」は、前後に分かれていて、かつ、深さも異なっているので、それぞれのラインを分けて考えることが大切だと言えます。

「ファンクショナルライン」について

六つ目のラインは、「ファンクショナルライン」となります。ファンクショナルとは機能的なという意味の通りに、歩行から激しいスポーツまでにわたって、さまざまな運動で使われるラインとなります。このラインの筋肉群は、歩行やランニングなどの動作も、野球やバレーボールなどの腕を振るような動作やテニスやゴルフなどの身体を回転させる動作、カヤックのようなパドリングする動作などで非常に良く働くことになります。

陸上選手の「腹筋」が発達していたり、野球選手のお尻が大きいのも、水泳選手の上半身が逆三角形なのも、この「ファンクショナルライン」が大きく発達しているからだと言えます。したがって、強い回旋力を生み出したいときやパフォーマンスを向上させたいときには、このラインを中心にトレーニングを行うことがとても効果的になります。いわゆる、筋トレのビッグ3と言われる「ベンチプレス」「スクワット」「デッドリフト」のいずれもこのラインの筋肉群をターゲットにしているのです。

この「ファンクショナルライン」は、身体の前後に分かれていますので、まずは、前側から見ていきます。前側のラインは、胸の大きな筋肉である「大胸筋」から始まり、お腹の中央に位置する「腹直筋」へとつながり、そして、骨盤の前側から太腿の内側の筋肉を経て、大腿骨へと行き着きます。筋肉の種類自体は三つと数が少ないけれど、いずれも、非常に大きくて強い筋肉が集まっていますので、体幹部分を折り曲げる動きにおいて大きなパワーを発揮するラインです。

続いて、後ろ側にラインは、背中の大きな筋肉である「広背筋」から始まり、お尻の大きな筋肉である「大殿筋」へとつながり、「大殿筋」の後は、太腿の外側へと移って反対側の膝下へと行き着きます。こちらの前側と同様に、筋肉の数は三つと数が少ないですが、どれも体積が大きくて力強いパワーを持っています。

「深層フロントライン」について

最後の7つ目は、「深層フロントライン」になります。「深層フロントライン」は、今までのすべてのラインの内側に存在しているラインとなります。この「深層フロントライン」には、高密度な筋膜と遅発性収縮型の筋繊維が存在しているのです。と言いますのは、あまり動かないと言いますか動けない筋肉組織の集合体となるのです。大きな収縮や素早い反応に対しては適さない筋肉群であるので、胴体内部の固定や姿勢の維持が主な役割となっています。

また、「深層フロントライン」に含まれる「横隔膜~腰方形筋~腸腰筋」の連動は、呼吸のリズムを歩行のリズムにつながるという役割があります。歩くときの動作と呼吸の動作が連動しているのはこのラインが働いています。外からはまったく見えないラインとなりますが、私たちが生きていく上において、とても大切な働きを影ながら支えてくれるラインとなっています。

具体的な筋肉のラインとしては、「咬筋」と呼ばれる顎のまわりの筋肉、そして、喉の奥にある小さな筋肉群から始まり、そして、そこから肋骨に沿って下り、肋骨の底面部分には「横隔膜」があり、その「横隔膜」を経て腰の内部にある「腰方形筋」と股関節の前後に存在する「腸腰筋」へとつながり、骨盤内部へとつながった筋肉は太腿の内側へすねの内部を経て足裏へとつながっていきます。

このラインは、運動の主動筋になり得ない筋肉ばかりなので、聞き覚えのない筋肉かもしれませんが、私たちにとっては欠かせない筋肉となっています。

以上が大まかとなりつつも長い文章にはなりましたが、筋肉のつながりや層のイメージにしていただければと思いますし、筋肉トレーニングにおいて、活用できる知識となり得ますのでご参考ください。

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