背筋を伸ばして脳の処理能力がUPするメカニズムについて
目次
「背筋」を伸ばすことは「メンタリティー」に関連するのか?
「背筋」を伸ばすことが私たちの「メンタリティー」に関連する事柄に関してご紹介させていただきます。
「脳」の処理能力 上げるなら「背筋」を伸ばすこと!
残業が続き仕事の作業効率が下がってきたとき、よく言われることでもあり体験的にも納得することですが、背筋を伸ばし脳を覚醒させることで脳内ホルモンが出るので、脳のワーキングメモリーの働きが増して処理能力がアップするということがあります。
ワーキングメモリーとは、脳の一時的な記憶機能のことで、何かの作業をするときに記憶や情報を一時的に保つ機能のことになります。たとえば、文章を読むときも文の最初に書かれていることを一時的に記憶していることでその内容を理解ができます。
逆に、デスクワークが遅々として進まないとき、猫背になっているのかもしれません。背筋を伸ばしているのか丸まってしまっているのかどうかによって、脳の覚醒の度合いや処理能力が大きく違ってくるのだそうです。
諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授によれば
「背筋を伸ばすと、脳が覚醒し、情報処理に必要な短期的な記憶力などが高まります。背筋を伸ばしたことで抗重力筋が働き、覚醒に作用するノルアドレナリンが脳内に分泌されるからです」
と説明されています。
実験において、短期的な記憶テストや無作為な数字を覚えて逆から言うことやボタンを早く押すなどの課題で、背筋を伸ばすことによって成績が良くなったことがわかっています。また、やる気をオンにするときも効果があるとのことです。
その理由は、抗重力筋が働くことで、脳内でノルアドレナリンが出て脳が覚醒します。背筋を伸ばすだけでも抗重力筋は覚醒され、脳は攻撃モードに入ってシャキッとすることで、素早く判断し素早く動けるようにスイッチがオンになるのです。
抗重力筋とは、重力にあらがって姿勢を維持するときに働く筋肉のことで、大腿・腹・胸・首などの各部に張り巡らされ、立つ、座るなどの姿勢を維持するときに働いています。
以上のことからわかることは、作業効率を上げたいのならば、背筋を伸ばした姿勢で仕事に取り組んだ方がよいことが言えます。もしも、椅子の背に深くもたれかかっていたり、机に突っ伏したような姿勢だと、抗重力筋の働きが弱まるために覚醒水準は下がり脳波休息モードに入ってしまいます。
「姿勢」は「メンタルヘルス」に影響する
姿勢の善し悪しが健康に影響することが様々な研究で示されていることから、姿勢がメンタルヘルスに及ぼす影響について述べてみます。
誰でも体験されることですが、気分が落ち込んでいるときに、猫背になって頭を下げてうなだれてしまうことはあると思います。心と身体は密接に関連しているのは、メンタル疾患などで精神的なエネルギーが低下することによって姿勢も悪くなる傾向があるとのことです。
以下に姿勢が悪いことでのデメリットを精神医療の視点であげてみます。
1.自律神経が乱れる
姿勢が悪くなると、息を吸うときの横隔膜や肋骨をうまく働かせることができないので、充分な空気を体内に入れられません。そのために呼吸が浅くなり、交感神経が優位な除隊が続きます。したがって、身体は緊張状態となり、呼吸が浅いことで血液の流れも悪くなり、疲れやすく動きにくい身体の状態になってしまいます。自律神経のバランスが崩れると、脳内伝達物質の活動も抑制し、精神的な不安にもつながることになります。
2.肩こりや腰痛を伴う
姿勢の悪さから筋肉や関節に緊張を強いられます。その負担によって肩こりや腰痛を引き起こすことがあります。姿勢が悪い状態を放置し慢性化することで、さらに悪化する傾向になります。
3.代謝が下がり太りやすい身体になる
猫背の姿勢は、骨盤や内臓の位置がずれてることで負担がかかりやすくなります。負担がかかり過ぎることによって、内臓が正常な働きを妨げられて消化吸収がうまく働かなくなります。したがって、代謝が悪くなり身体がやせにくい状態に陥ります。
4.光を身体に取り込みにくくなる
うつむいて前かがみになっている状態は悪い姿勢に当てはまり、この姿勢では眼から入る光をうまく取り込みづらくなります。光が私たちの精神状態に大きな影響を与えることは、鬱病の人が日光浴を勧められることが示しているように、生体リズムを整えてセロトニンやメラトニンの生成によい影響を与えることがわかっているからです。